深夜高速

ヘッドライトの光が深夜の高速道路を照らす。

この仕事を初めて、数十年が経つ。東京と大阪、あるいは都市から都市へと荷物を運ぶ仕事だ。
元々、人に関わることが苦手で始めた仕事。誰とも喋らず、ただラジオを聞きながらアクセルを踏むだけ。特に楽しみはないが、つらくもない。 ただ、孤独に耐えれるかどうかだ。
けれども、いつのまにか、家族との時間も失っていた。

人と触れ合うことの億劫さを知り、そして、自分の仕事の辛さ、孤独、ありとあらゆることを分かってはもらえないだろうと決めつけてきた。

子供は俺のことを嫌っているだろう。

彼らがいなくなった今思う、俺は何を得てきたんだろう。

そう親父が思っているのを知って、僕はとてもつらくなる。

僕は、彼を長年避けてきて、今でもどうしたらいいのか、分からない。。
ただ、彼の気持ちを知りたいと思う。
どうして人は人を傷つけるのだろうと、自分自答という逃げ道に逃げるのではない。

あるいは、分かり合えない決めつけるのではない、ただ想ってみることが第一歩だ。

等間隔に置かれたカラーコーンが、危険信号の点滅のように道路を敷き詰められている。
俺は眠気を覚ますために、ラジオをかける。夜の道をただ走るだけだ。レールから外れないように。
何時間も走り続けると、辺りの景色がゆっくりと感じ、まるでなにも変わっていないかのような感覚になる。
けれども、朝日が差し込む時間になると、俺は目的地の近くにいる。深夜の走りが、おれを何処か遠くへ連れてきたのだ。

俺と親父、やっていることは変わらない。
時間によって、どこかへ連れて行かれる。親父になりたくないと思いながら、俺は親しい存在になっていた。